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Monotribe MIDI化


monotribe-mod3

2014年冬の段階では、すでにディスコンになってしまっている、KorgのMonotribe。今でも根強い人気があって、MIDI化の情報をというお声をまだ聞くので、昔のコンテンツを加筆修正して再公開します。
現在は、Korgの比較的新しめの機材の改造記事がメインになっていますが、当時は、こちらのサイトにmonotribeの改造に関する記事が日本中から集められていました。さまざまなアイディアがきれいにまとめられています。

ELECTRIBE Life / Posts Tagged 改造

最近は、MIDIではなく、USBに対応する記事も公開されています。


monotribeにUSB-MIDIを内蔵させてみた

このほかにも多くの方が挑戦されて、当時はレポートがいろいろなところから飛び込んできてワクワクな毎日でした。僕は、Aire Variableさんのページに深い印象を受けて、ずっと拝見していました。

Aire Variable / Korg monotribe分解

無改造のMonotribeがデフォルトで出力するゲートの出力のオシロの画像が公開されていて、これを元に、マイコンで15msのトリガーを出力させられれば、氏の解析画像そっくりの波形を出力するハードを設計したが、キチンと発表するチャンスが無いままになってしまっていました。
その後、MIDI Bareという、MIDIクロックをmonotoribeのシンク信号に変換するハードウエアのキットで登場する機会を得ました。回路図はこちら

特に、Serialという名前の付いたコネクタ周辺の解析と、そこに流れている信号の解析にはドキドキさせていただきました。
氏の解析を受け、Gameboy Geniusというサイトに、nitro2k01氏が”Monotribe, MIDI and me”という記事を投稿され、この記事の内容を追試してみました。MonotribeのMIDI化です。

Monotribe MIDI化

schem

オリジナルの記事では、抵抗1本付けておけば、動くように書かれていますが、これはMIDI情報の送信側と、受信側の機器のグランドのレベルがずれてないのが大前提となります。
経験的には、なぜか、2台の機器のグランドレベルが、数十ボルトずれてたりするのを見たことがある僕としては、あまりお勧めできません。ただ、電池稼動の2台の機器ならそんなにずれることは無いはず、ライブなどで、外に持ち出して、ACアダプタなどで動かそうとすると、トラブル可能性が増えます。

MIDIのハードウエア仕様は、5mAのカレントループというルールになっています。電源が5Vなら、相手はフォトカプラを使うと決まってるので、LEDの電圧降下(FV)が2Vとして3Vに5mA流すには、3(V)/5(mA=)0.6kΩとなります。これを電源側、トランジスタの出力(MIDI-OUT側)、LEDの入力(MIDI-IN)に3等分して200Ωづつ、それぞれにわけて付けておきます。

MIDI送信に関しては、”Monotribe, MIDI and me”
“MIDI, the electrical side of things”というセクションの最初に出ている回路図のR1,とR2に当たる抵抗については、出力が3.3V出ているのであれば、フォトカプラのLEDの電圧降下分の2Vを引いて1.3V。これに5mAだから、抵抗は260オーム。受信側に200オームは入っているに違いないいので残りは60オーム。nitro2k01氏も同様の計算をされているようです。

monotribe-mod3

何かのトラブルで、電源や、出力がそのままグランドにショートするのは問題です。(普通は壊れます)だから、30オームずつわけて、ポートの出力に30オーム、電源に30オームの抵抗をつけます。30オームぐらいじゃ保護にならない気もします。多分、トランジスタ1発いれてレベル変換するのが正攻法ですが、逆に、外に出すための5Vをどこから持ってくるか、など、問題点が増えてゴールが遠のきます。
外へは持ち出さないし、自分の機材だけで動きゃいいんじゃない?という方法論で、150オームから始めて、動く所まで下げていくという行き当たりばったりの設計もありです。一番低いところは30オームまでであれば、問題なさそうです。
入力は、普通にフォトカプラを使います。東芝からもセカンドソースが出ている6N138を使いました。写真では、330オームが付いているけど裏に1.5kが並列についていて、回路図どおり270オーム。330オームでは若干スピードが足りないかもしれません。
なんとなく動く、というデジタルらしからぬ、まるでランニングステータスの解釈をミスったような動作を見るのも、経験としては大事かもしれません。

U1 6N138 Phtocpller
D1 1N4148 Switching Diode
R1 220R 1/4W carbone
R2 270R 1/4W carbone
C1 0.1u Ceramic
MIDI-IF for monotribe BOM

nitro2k01氏の記事では、2段目のトランジスタにバイアス用の抵抗として4.7kを7ピンに接続してるが、僕はナシでも動いた。動かないこともあるので、自分で組み立てるなら、入れた方がいいとも言えます。


air Variablesさんの記事
によれば、Serialという名前の付いたコネクタは
東芝のARMコアのデータシートと見比べると、以下のようになっているそうです。

  • 1.IC11-20(/BOOT)
  • 2.IC11-12(RXD0)
  • 3.IC11-11(TXD0)
  • 4.VDD(3.3V)
  • 5.GND
  • 6.IC11-29(SCK1)

上記フォトカプラの回路は、VCCを4Pinへ、GNDを5Pinへ、Sig.を2Pinへ接続します。動かなかったらMIDIコネクタ周りを見直してください。ミスの80%は、Dinの5Pinと4Pinの勘違いの様です。

一般にWebに公開されている電気回路は正しく動くように設計されていて、それを正しく組み立てれば、大体正しく動作するものです。なんか、当たり前のことなんですが、DIYを続けていると、なんか、うまく行かない事もたまにあります。

組み立てのデバッグで初心者が陥りがちなミスは、「もともと、部品が壊れてんじゃないの」という心配かもしれません。間違えなく組み立てたはずなのに、思ったように動かないのは、組み立てミスがあるのだというところからスタートしてください。

たとえば、オペアンプの電源片方接続するの忘れてオーディオを通したとき、どんな音が出るか経験的に知っていると、あ、この音は聴いたことがあるぞ、と、トラブルシューティングがスムーズに進む事があります。達人の多くは、正しく動くときはどんなふうに動く、ミスった場合、ミスの具合によってどんな動作をするかを経験として蓄積しているとも言えます。これが達人の達人たる部分かな、と思います。
残念ながら、僕はまだ達人にはなれないようで、小一時間遊んで、なんか、変だなとか言いながらからおもむろに、フォトカプラの高速化のためにR2を小さくしてみました。電源をMonotribe本体から引くのだから、消費電流をケチろうと思って270オームのところ、330オームにしたのだけど、最終的には何台か組み立てて、仕様書に準拠の値に修正しました。

Monotribeへの組み込み

ケースへの穴あけ

ケースへの穴あけ

回路そのものの組み立ては比較的簡単な部類で、初心者向けかもしれませんが、MIDIのコネクタを本体につけるのは難しいかもしれません。
nitro2k01氏の記事で紹介されていた場所だと、基板にコネクタが当たります。氏の記事でも、基板を切って、何とか収めたようです。ちょうどここにはグランド信号しか来てないところなので比較的安全に基板を切り落とせます。あと、基板を切れそうなところは、serialのコネクタの隣にあります。Twitpicに画像だけ公開されている方もいらっしゃいます。

こちらの方のコネクタ増設ポイントも参考になるかもしれません。
パネル用のDINコネクタの半田付けようの端子をニッパで短く切って、ぶつからないように端子を切り詰めます。短く切りすぎるとズボっとぬけますので、それなりに尻尾は残して切ります。内部は狭くて、指が入らないに違いないのでケース側に3mmでタップを立てました。
ガラス基板は基本的に切れないと思うほうがいいかもしれません。無理やり切るには、アルミのシャーシに四角い穴を開けるときに使う、ハンド二ブラという工具を使って、ちょっとづつ切ります。最終的にヤスリでなでて、滑らかにしておきます。ぎざぎざのままにしておくと、あとでどこかに引っ掛けて。ひっくり返えしたり、机からダイブしたりとかのトラブルにつながります。丁寧さは自分のため、と思ってください。


フォトカプラ基板の設置

フォトカプラ基板の設置

ケースの穴あけには、こんなときのために用意しておいたミニホールソーを使いました。千石電商で買えます。(デジットならこちら)2mmのアルミに15mmの穴を開けるのは、簡単ではないです。この工具は、必須と思ってください。
ヤスリで15mmの穴あけると、削りカスがテーブルに落ち、それが紙やすり状態になって、こすれてしまい、きれいなケースはぼろぼろになるわ、穴は丸くならねえわ、マメはできるわ、一晩泣きながら作業をする事になるのは必至です。高い買い物ではないと思います。1発あれば、たぶん、一生使えます。僕は、POT用の7mmのミニホールソーも使っていますが、こっちは結構使う頻度が高くてもう1本追加で買おうかと思うぐらいに使い込んでいます。

透明のプラ版をコの字に曲げてはさみ、ケースの中で他に電気的に接触しらないようにガードしました。特にねじ止めとか固定していないけど、ちょっと大きめに切ったプラ版がそこかしこに当たって圧迫され、結果、基板もそこそこ固定されています。簡単に言えば、無理やり突っ込んだ状態でもあります。

ああ、ネットって素敵

言うまでもありませんが、改造はすべて自己責任。この改造を施したらもう、メーカーは修理を受け付けません。転んでも泣かない人だけがトライください。
せっかく手に入れた楽器、音が出なくなったら相当に切無い、そんな危険を冒してネットでは多くの人たちが、果敢なトライをレポートされています。こうした公開された有用なリソースは、それを元に追試させていただいて、きちんと動いたレポートをさらに公開することが大事だと思います。
そんな思いをこめつつも僕も怪しげな情報をちょっとだけ公開します。


上記は虫眼鏡とテスターででトレースしたmonotribeの回路のほんの一部です。特に、回路図が公開されているMonotronとの対比で見ると面白いです。オシレーターのコアの部分はまったく一緒、アンチログ回路周辺は、R7に、オペアンプのサミングアンプがあるのを期待していたのだけど、どうもプロセッサのほうにトレースは伸びているようです。直接DAコンバーターにつながっていて、ビブラートのLFOとか、ぜんぶソフトで処理しているのかもしれません。C19以降もプロセッサ方向に伸びているようです。オートチューニング機能をどうやって実装するかを考えると、ここにDACからの電圧を入れたくなるなあ、と思います。

R102は矩形波の出力。たぶん、オートチューニングのために矩形波をCPUに接続しているんだと想像しています。

下の部分は波形整形です。

シンク回路周辺は、読み間違ってる可能性が高いです。Q12.Q13、何で2系統作ってるんだろう、後から追加された回路的な印象を受けなくもありません。多分この先はプルアップされたプロセッサのIOポートだろうな、と色々に想像するのも回路解析の楽しみの一つです。
SyncInは、プラグを突っ込まれたことがわかるように、CPUの入力ポートへつなげる回路が付いているようです。ダイオードによるクランパーは、入力ポート処理のセオリー。まるでトランジスタのような形をした、表面実装のWD3というパーツがなんだかわからなくて2日悩みましたが、ダブルダイオードの略であることに気が付くと、ああ、なるほど、これならありうる、といった解析。こんな調子で最後までできそうな気がしません。というか、こんな感じで、見たいところの大筋を読みました。全体を見渡すのは無理でも、部分だけならなんとなく読める部分もあります。
monotoronのMIDI化の改造に使ったCVコンバーターを接続できないかなあ、という狙いだったのですが、オートチューン期間中には、MIDI-CVからのこのCVが加算されていたらちゃんとオートチューンできなさそうですし、そのスイッチの機構を考えるだけで複雑な回路になりそうです。どちらにせよ、簡単なCVの加算だけじゃ無理そうだ、というところまで見えたところで解析を断念しました。

結果論ではあるけど、自分のやりたい事はこのあたりの改造ではできなさそうだということを理解するための解析になりました。

有用かどうかはともかくだけど、参考になる部分もあるかもしれないと思いながら、公開。何らかの形で活用いただければ、幸いです。

PS.この記事は、MonotribeをCV+GATE対応にする、Version2が発表になる前の解析記事で、なあ、なるほど、そう使っていたのかとか、今、膝を打ったりしています。