MIDIの機器が増えている?

手作りMIDIスルーボックス

去年の秋に、RJBさんのESM2、冬に、GanさんのAnalog2.0と立て続けに、新作が公開。幸運に恵まれて、両方組み立てることができた。自分のpARMも入れれば、MIDIでならせるアナログシンセが都合3台。結構すごい事になっている。
鍵盤は不得意なので、リボコンでなければ、パソコンのシーケンサに一旦入れて、エディットしてから鳴らすことになるので、3台のシンセを同時に鳴らすには、MIDI OUTが3つ欲しい。
昨年秋にいくつかのイベントに参加して、自宅から手作り楽器を持ち出して、外で操作/演奏する機会を多く持った。この準備をしているときに、1本のMIDI OUTを複数のMIDI OUTに変換する、いわばMIDI の蛸足ともいえるMIDIスルーボックスがあったら便利かも、と、ちょっと調べてみたら、国内大手の3社の楽器メーカーのカタログから姿を消していた。
イベントとかでは、現場で何が起きるか分からないので、無きゃ無いでなんとかなるような構成を考えてその場をしのいだのだけど、3台のシンセが並ぶとなると、やっぱ、鳴らしてみたいだろう?同時に。音色つくりとか、それぞれのキャラを生かしてやりたいと思うし...。

自宅録音する場合なら、同時になる必要はなくて、1声づつ録音して重ねればいい。「昨日と同じ、何も変わらない今日」を実現する技術としてのデジタルなメカなら、さっきの音色をもう一度っ!は、比較的簡単にできる。一旦録音しなおした後、楽器のセッティングを変えた後でも、1ステップ前の音色に戻して追加録音とか別に苦も無くできる。
パネルのツマミの位置で音色を作っていくAnalogシンセでは、これが、さっきと同じ音色を出すという、簡単そうに見えることが出来ない。一旦これっと言う音が出たとしても、また同じセッティングができないのだ。単一時間軸上にか存在できない音色。これが、アナログシンセの醍醐味であり、同時に限界でもある。まさに、その日その時にしか出ない音との一期一会の付き合いとも言える。

メーカーのカタログから、姿を消すのには理由がある。MIDIインターフェイスのついたハードウエアの楽器を、同時に慣らすシーンなんか殆ど無いんだろうな。よく考えてみたら、造ってみようと思ってる本人でさえ、出来上がったあと接続するためのMIDIケーブルが手元にに無い。 イベントなどの会場にシーケンサを持っていくつもりで、PCを持っていくのなら、わざわざハードウエアのシンセを持っていくことはない。優れたソフトシンセが沢山ある。僕も使っている。じゃ、なんで、ハードウエアのシンセなの?という質問には、ジョージ・マロリーの言葉をもじるしかない
「そこにツマミがあるからだ!」

基板製作のプロセス

SMD用の基板、生基板の切れっ端でためしてみた

さすがに、言いすぎだな。「ツマミあれ!」と強く願ったのは僕だ。まあ、タマゴと鶏だろうなとか類型的な思考のスポットに自ら自分を突き落として満足していちゃいけない。
いや、ま、それはともかく...
最近、PCBの上にコネクタも何もかも載っていて、そのままでバラックとして使えるメカ、VRもついてたりとか、周りの知り合いが素敵なボードを沢山作られていて、真似してみたかったの、といことで、オリもオリ、最近秋葉原では入手が難しくなってきたらしくて、なかなか手に入りにくいという評判の、MIDIの入出力に使える、基板じか付けタイプのDIN5pinのコネクタが、Switch Scienceという通販ショップで手に入ることが分かったので早速手にいれてみた。
動機とか、なんか、部品見てたらムラムラときて、と言うのが自然なのだけど。

もう一つ大きなポイントは、PCB製作のプロセスを変えたこと。
アマチュアの少量基板製作にPress'n'Peelを日本で流行らせようと何年もキャンペーンやってたんだけど、僕が最近手にいれたブラザーのHL-2040のトナーが、Press'n'Peelと合わないらしくて、うまくいかない。
プリンタとしてはコンパクトでよくできているので、これからも使いたいんだけど、一番やりたかった事には使えない状態。実はPress'n'Peelタンマリ仕入れ直したばかりだったりして、かなりへこむ。
最近、プリンターのメーカーは、ハードよりもむしろ沢山買ってもらえるに違いない消耗品で利益をという方針に販売戦略をシフトさせてきたのか、消耗品がやすくない。
もともと、レーザープリンタの消耗品は安くないのとは言え、バーゲンでプリンタを買っていたりすると本体と消耗品の値段があまりかわらなかったりして、もう1台買っちゃおうかなな気分になりそうだ。
Press'n'Peelで何度か失敗を繰り返して気がついたんだけど、多分、トナーを紙に焼き付けるときの温度の問題。高速に出力できるように、高温でサっと焼き付けられるようなトナーに換わってきてるんだと思う。トナーの技術革新が、Press'n'Peelに厳しい状況なんだと思う。これは、もう、Press'n'Peelには未来がないと思うべきな気がしてきた。 プレスするときの温度を上げると、今度は、フィルムのほうが熔ける。
何の根拠も無いのだけど、一般には品質が悪いように見える、詰め替えのトナーを使ったリサイクルトナーとかだと、まだ、Press'n'Peelも使えるのかもしれない、と、調べてみたら、これでも、安くない。一つ二つ型落ちの新しいプリンタが買えそうな気がする。

ちいさなモジュールが作れるかどうかの実験

一応、日本で初めてPress'n'Peel を紹介(少なくとも当時はGoogleにヒットする日本語ページはなかった)したつもりの僕なので、巷で噂の、表面がコーティングされたインクジェット用の紙をレーザープリンタで印刷して、Press'n'Peelモドキにするというのは、かなり抵抗があったのだけど、オッショさんの強い勧めもあって、騙されたと思って試してみた。インクジェット用の紙による、なんちゃってPress'n'Peel は、こちらの「エレ玩 Konyaの開発記録 自己流基板制作方法覚書き 」に詳しい。
僕の家の近所の文房具屋には、上記ページで紹介されている「画采 マット仕上げ ファイングレード A4x100枚」の在庫がなくて、スーパーファイングレード、青リンゴの写真のやつで試してみた。さらにプリンタは、上記ページではダメと紹介されているブラザー、HL-2040。トナーは純正。
結果はこれ。一応紙がふやけてサイズめちゃくちゃになら無いように乾式。位置だけ決めて上からギューっとアイロンで押すだけ。
若干の不安はなくは無いけど、工程を見直す(たとえば、スチールウールで銅箔を磨いた後ピカールなどで鏡面仕上げするとか?)と、結構いけそう。これまで、色んなところで、Press'n'Peelお勧めしてきたけど、もう止めなきゃかも。騙されてみるかーと思ったら、今まで騙されてたことに気が付いたというか...まあ、時代が変わったのねということで。

5mAのカレントループ

MIDI のハードウエア的な規格は、こちら。(ちょっといいのが見つからない、跡で探そう)
MIDIでは、カレントループという方法で、デジタルデータをやり取りする。その名の通り、電流の変化を信号の伝達に使う。MIDIではこの電流を5mAと決められている。
たとえば、情報伝達に、電圧の変化を使う場合、2つの機器間のグランド電位が違うと、自分は5Vのつもりで出しても、相手は、3Vとして受け取ってしまったりする。電流の変化で伝達するようにすると、原点は何処であれ、5mAの変化は、変化として伝達することができる。2つの機器の間に入るケーブルが持つに違いない抵抗成分の影響も最小限にすることができる。
要するにマイコンのポートで、LEDを光らせるのと一緒。LEDに5mAの電流が流れるようにスイッチングトランジスタをパカパカやればいい。LEDを光らせる電源はこちら持ちにすることで、送り先とグランドの電位がずれていても問題ない。というか、投げた電流は自分で受けることで、ループさせる、回路として成立させる、と考えればいいのかな。
受信側は、フォトアイソレーターで受けるのが一般的。これで機器間の絶縁を図れる。要するに、自分のノイズを他の機械に可能な限り乗せないように気をつかった回路と言うこと。
電源が5Vなら、相手はフォトカプラを使うと決まってるので、LEDの電圧降下(FV)が2Vとして3Vに5mA流すには、3(V)/5(mA=)0.6kΩ。これを電源側、トランジスタの出力、LEDの入力に3等分して200Ωづつ、それぞれに付けてやるだけ。
以前書いたタケダノオトVol.5 フォトカプラーオリンピック で書いた MIDIのテスト用の回路図の中に、MIDI DRIVEというタイトルで模式図を書いた。トランジスタでスイッチするけど、合計600オームとLEDを5Vで点灯させてるも同然の回路と言うことだ。

受信側は、何度も書くけど、フォトカプラを使う。たとえば、東芝でもセカンドソースを作っている6N138の仕様書を見てみる。LEDのForward currentは20mAこれは、Absolute Maximum Ratings(絶対最大定格)で、コレを超えたら壊れますよという数字。20mAがギリギリらしい。このとき、受信側のトランジスタ(Detector)は、60mA(Output current)まで流せる。20mAのところ5mAで使うのだから1/4。出力は15mA流れるに違いないという読み。
コレクタの電位が、15mAの変化で0Vから5Vまで変化するような抵抗を負荷とすれば良い。5(V)/15(mA=)0.3kΩ。これよりちいさいと15mAでは、0Vにならない。たとえば、1kとかにすると、15Vの変化がでるはずだけど、ない袖は触れない。きっちり0Vまでおちる。でも、トランジスタがオフになったとき、5Vへ戻るのに、ちと時間がかかる。いや、かからないのだけど、5Vへ変化するところの方が微妙になまる。フォトカプラが引ける電流で変化した電圧が、5Vに戻りやすい軽い負荷で、且つ、ちゃんと0Vがでるところを選ぶようにする。僕は計算で得たアバウトな300Ωに、きちんと0Vが出るように、2倍のマージンを付けた680Ωとしてみた。

ここまで考えて、やるぞーと、ネットを検索してみたら当然だけど、すでに作られている方がたくさんいらっしゃる。たとえば、Papareil Synth Lab.のMIDI Thru Box 1 to n。使えるフォトカプラの一覧がでている。6N138は、270Ω。このほか、PC910も使えると思う。

実装

 

インクジェットプリンタ用の紙でプリント基板が作れるとなったら、アマチュアの1点物の制作ではコストはかなり下がる。だって、紙だしっ。生基板に当てて、場所決めする時も、Press'n'Peelほど神経質にならなくてもいけそうだ。いろいろなサイトを拝見していると、両面基板も作れるらしい。裏と表の位置あわせとか大変だろうなあ、と思いつつも、みんな結構やってる。 僕は、とりあえず、乱尺の生基板が大量(でもないか)にあるので、ちょっとした実験でもさくさく使える。SMDなら、基板の穴あけもしないですむので楽チン。
勢いで、コネクタも何もかも基板の上に載っていてバラックでも使えるMIDIスルーボックスを組み立ててみた。ACアダプタ専用で、9Vから12Vぐらいまでのセンター+のACアダプタなら大体使える。50mAもあれば、十分かな?なんせ、5mAしか流さないポートが4つしかないのだ。(フォトカプラは15mAか..) 写真はハンダ付けしているときに、あ、抵抗が1本足りない!と気がついて、あとから裏に追加したりしてる。

netをチェックしていると色々な作例が紹介されているのだけど、ここは、ちと人と違うことをやってみようと、マイコンでLEDを点灯させるときに使うような、トランジスタアレイを使って、オープンコレクタという形式にちとこだわってみた。
やってみて気がついたが、ベーク、紙エポの基板は強度が足りないかもしれない、こんなサイズ(細長いとか)だと、ぺらぺら。ケースに入れるべく固定の穴をコネクタの近くに付けたけど、基板全体がしなりそうだ。追試されるならガラスエポキシの基板を使うのをお薦め。 さらに、コネクタをハンダ付けするランドは、でかくないと、コネクタを挿した勢いでPCBの銅箔がペロっと剥けそう。参考PCBパターンは、なんか、冗談のようなランドを付けたが、これくらいのサイズで、たんまりハンダを盛ったほうがよさそうだ。 僕の基板に乗せたコネクタは、接着剤か何かで接着してしまう予定。そうでもしないとあっという間にむしれそうだ。 どんな箱に入れようかな...。